由里りんのぷらいべ~となお時間

白石由里が、たびてつの記録、ヲタの記録、その他ぷらいべ~と(笑)な出来事をいろいろと語るブログ♪

『おちばおちばとんでいけ』

写真でわかると思いますが、童話です☆
作者は茂市久美子さん。
…このお名前を聞いて何やらピンときた方、鋭いです☆ この先をお読みください♪
(ただし、ネタバレが含まれるので、ご注意ください。)





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作者名の“茂市”を聞いてピンときた方…“茂市”といえば茂市駅茂市駅といえば、そう! 岩泉線の始発駅です☆
茂市久美子さんは、岩手県新里村(現 宮古市)…すなわち、茂市のご出身です☆
そして、この作品には、架空のローカル線「いずみ線」が登場しますが、乗り鉄や駅鉄な方なら「いずみ線」が岩泉線をモデルにしていることがすぐにわかります♪

「いずみ線」の駅名がなぜか全駅名について載っており、駅数も実際の岩泉線と同じであり、駅名の多くが、実際の岩泉線の駅名をいかにももじった駅名になってます。さらに、駅がほとんど無人駅だとか、1日4往復だとか(現在の岩泉線は3往復+一部区間1往復)、ディーゼルカー1両のみだとか、やたら設定が細かい(笑)。 しかも、よりによって、この物語に登場する幼い少女が降りる駅が、“いえもなくだれもすんでいない”という「どんぐり山駅」でありまして…鉄な方はすでにお察しのとおり、「どんぐり山駅」は実際の岩泉線にて著名な“秘境駅”である押角駅に相当しています(爆)。

…ほら、なんだか気になってきたでしょ?(笑) なぜ少女はよりによって押角駅(どんぐり山駅)にて降りるのか? まあ、詳しくは実際に物語をお読みください♪

童話にしては、やたらと岩泉線(いずみ線)の設定が細かく、鉄的には要チェックと思われるこの物語…表面的には“車掌さんがめぐりあうちょっと不思議な心暖まる物語”的ですが、裏の執筆意図としては存続の危うい岩泉線の魅力について世間に広くうったえかけるのが目的では?…と深読みせざるを得ない作品でもあります。というのも、初版は国鉄民営化から4年後の1991年8月…東北新幹線が東京駅まで延伸開業を果たした2ヶ月後でした。国鉄の破綻、赤字ローカル線の存続問題と第3セクターへの相次ぐ転換が背景にあった時代に書かれた作品と言えると思います。

現実の岩泉線は現在1日3往復となり、豪雨被害による不通以来2年近く放置され、そのまま廃線危機に直面していますが…。ローカル線は断固存続すべきなどと安易に言うつもりは私は無いですが、こういう作品を通じて公共交通の価値の一側面についてきちんと想いを馳せてみることは必要だろうと思います。